男は魔竜が話すことも然り、その恐ろしいモノを前に毅然と剣を構えるリシュアに驚いた。
自分の背丈ほどもあろうかという大剣をいかに扱うのか…
先程まで自分自身が見せかけだと思っていた戦士紛いの少女の動向を魔竜の放つ威圧感に圧され、身動きとれずただ見守るしかなかった。
「ここ数日おまえを捜していた!」
『光栄だな…紅の君よ。そなたが敗北にもめげず、北からこの魔竜を追ってこようとは…。お付きの兵隊どもは健在かね?』「…くっ、…お前が殺したくせに!私はお前と話をするために追ってきたんじゃない!」
リシュアは剣を握る両手に渾身の力を込め、両足は行動の時を待ち、両目はザイラスを睨みつけた。