病院に運ばれてすぐ瀬奈は手術室へと運ばれた。
瀬奈の手術は10時間にも及んだ。
手術中のランプが消えると俺と瀬奈の家族は待ちきれんとばかりに入り口のほうへと駆け寄った。
「せな!!」
「先生、瀬奈は…」
「全力を尽くしましたが………油断はできない状況です。」
その言葉をきいて俺たちは放心状態になってしまった。
「瀬奈…せなぁ、なんで…こんな…っ」
いつも頑固で、怒ってばかりの瀬奈の親父…
自分の無力さにうなだれる父親はとても小さかった…
そして、いつも瀬奈と仲がよかった母親は声もだせず、ただ泣き続けた。俺は、瀬奈がいなくなってしまう、という大きな不安に襲われて、息をするのがやっとだった。
「………奇跡を…信じましょう…」
俺は震える声で瀬奈の親に声をかけた…
それでも瀬奈の親父も母ちゃんも、何も言葉にできず、ただただ、泣くばかりだった。