声-14-

深谷恵梨香  2010-10-20投稿
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都合のいいことばかり考えていた。
まさか…
今日この日に瀬奈が死んでしまうなんて1ミリも考えていなかったんだ。
「ごめんなさい…瀬奈…がんばったんだけどね…」

俺は瀬奈の顔にかかった小さな布をそっと持ち上げた。

………たしかに、瀬奈だ…

「………」

静かに眠るような瀬奈…
まだ、生きてるんじゃないか…
もしかしたら“おはよ、はやて”って、何事もなかったように起き上がるんじゃないか、ってくらい、瀬奈の顔はきれいに整っていた。

「せ…な…」

俺は瀬奈の頬に手を触れた。

………

冷たい………

瀬奈は、ほんとに…死んでしまったんだ…

いつもなら少しピンクに染まった頬は真っ白で、いつもまっすぐ俺を見つめていた瞳は固く閉ざされて、いつも俺を温かく包み込んでくれていた手はひどく冷え切って…

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