「っ…せ…な…ほんとに死んだのかよ…イヤ…だよ…俺…どうすれば………」
瀬奈のきれいな顔にポタポタと雫が落ちる。
「せなーーーーっっっ」
「俺さ、最後瀬奈が死ぬとき一緒にいてやれなかったこと…今でも後悔してる…」
苦笑いをしながら、隣を見ると、りなの目から大粒の涙がボロボロとこぼれていた。
それを見て、俺の目からも一筋の涙が流れた。
「瀬奈にでっかいチョコレートケーキ食わせてやりたかった…欲しがってたお揃いの指輪も…」
今日は…瀬奈の…誕生日だ…
「ケーキ屋…まだやってるよな?」
ずっと忘れていた。
今日が瀬奈の誕生日だって…
瀬奈が死んだっていう衝撃が大きすぎて、今日は瀬奈の命日だとばかり思っていて、瀬奈の誕生日だなんてすっかり忘れていた。
「俺、最低だな…瀬奈が死んだことばっかり嘆いて、瀬奈の大切な誕生日忘れるなんて…今日は瀬奈がこの世に生まれてきてくれた大事な日なんだ…」