「村が破壊されたのはご存知でしたか?」
「うむ…あれだけの力を使えばさすがに気付くからの」
「ならば話は早いです。私たちに協力してくれませんか?」
エナンは真剣な表情でレムを見た。
「…」
レムは小さく息を吐いて、立てかけてある剣を手に持った。
「一つ聞こう」
「なんでしょうか?」
「王を除いた後はどうする気じゃ?」
「然るべき人物に後を継ぐよう呼びかけています。成功したなら、その者を王とします」
「?」
エナンの言葉にダリル、ミーナ、ザック、メディナの四人は目を大きく見開いた。
「なるほど。なら、クリスタルはどうする気じゃ?」
レムはキラリと目を光らせて、尋ねた。
「…」
エナンは答えに詰まった。
「クリスタルがそこにあればまず間違いなく悪用されるであろう。人は力ある物を前にしては邪なる事に使う欲望を容易に抑える事はできぬ」
「…では、どうしろと?」
「簡単な事じゃ」
レムはそう言って、目にも留まらぬ速さで剣を抜いた。
そのままの状態でザックに斬りかかる。
「!?」
ザックは突然の事に驚いて、後ろに飛び退いた。
レムの剣が先ほどまで彼の頭頂部があった所でピタリと止まる。