ある日の朝、上履きを履くと足の裏に異物を感じた。
見ると小さなメモ紙が四つ折りになって入っていた。
「果たし状?」
メモ紙を取出しながらつぶやくと、由美がすごい勢いで覗き込んできた。
「ラブレター!?これ、ラブレターじゃん、夏樹!」
由美が肩をブンブン揺さ振るせいで、私はメモ紙の字がまともに読めない。
「ちょっと、由美揺らしすぎだし、声デカいって。」
「あー!綾瀬!こっち来て!これ見てよ!」
由美が登校したばかりで上履きに履き替えている綾瀬を見つけ呼んだ。
「おはよ、どうした?」
まだ読めてないラブレターと思われるメモ紙を由美が奪い取り、すかさず綾瀬に渡す。
「あちゃー、青春の幕開けじゃね?」
「ちょっと!私まだ読んでないってば!」
綾瀬から奪い取り、今度はジャマされずに読めた。
手紙の主は知らない名前だった。
内容から見ると、図書館でよく会っているらしい。たぶん一階で勉強している3年生の一人だ。
『いつも窓際で本を読んでいる姿に惚れました』と書いてある。
「私この人知ってる!たしかこの前まで男子バレー部の部長やってた人だ!たまに体育館で見かけたことある!」
由美がさらに興奮し始めた。