―…もう何日こうしてさまよってるんだろう
俺は週に一度人を食べて生きている。
これもすべてリリィに教え込まれたものだ
また人混みに紛れ、新しい餌を探す。
都会の方が目立たないし随分と作業がし易い。
また巨大なテレビが事件を報じている。似たような殺人事件が二つ起きているが、一つは俺で、もう一つはリリィなのだろう。
俺はこのニュースでしかリリィの存在確認が出来ない。そしてまた君を捜すんだ。
君がいなくなってとても辛いんだ
いや、きっと俺は淋しいんだ。
―仲間が欲しいんだ
今日も俺は ゴミで散らかった歩道に座り、前を通る餌を選ぶ。
「…ねぇ、君なにしてんの?暇だったらお姉さんと一緒に遊ばない?」
……!?
俺の肩をたたき、声をかけてきた女がやってきた
「別に暇じゃないし。…てか何で俺なの?もの好きな奴」
―こんな薄汚れた格好した俺に話しかけるなんて他の奴なんか目も合わせようとしないのに…
久し振りの感覚だ
「―え!?…だってどっからかいい匂いしてさぁ気になって匂い辿ったら君だったんだよねー
香水何つけてんの?私、甘い匂い好きなんだぁ」
「………え?」
俺はこの時リリィと出逢った日の事を思い出したんだ
そうすると不思議と笑えてしまう俺がいたんだ。
あの日のリリィも今の俺と同じ気持ちだったのかな
俺は優しく女の子を抱いた。
「―嬉しい…仲間が見つかったよ…」
こうしてまた新たな一日が始まる
―終―