クラスメイト9

フラン子  2010-10-21投稿
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「あの!…えーと。ありがとうございました。気持ちは…嬉しかったです。……でも…ごめんなさい。」

先輩は「こっちこそ、ごめん」とボソっと言って去っていった。


私の腕を綾瀬が引っ張る。

「あ、そっか!由美が私のこと探してるの?」

「……。」


綾瀬は腕を掴んだまま、私を連れていく。

「綾瀬?私もう転ばないから。」

「……。」

綾瀬は返事をしてくれない。

腕を引っ張られながら、図書館へ入っていく。一階の3年生たちは珍しくみんな帰っていた。そのまま二階の特等席まで連れてこられた。

「あれ?由美は?」

「あれは嘘だよ。」

ようやく綾瀬が口をきいたが、怒った口調だ。

ソファにドカと座り、ため息をついている。

「ありがと。助かった。あはは」

「『あはは』じゃねーだろ。ここから見てたら、だんだん先輩がお前に近づいてて、『危ないから離れろ』ってジェスチャーしても伝わんねーし、中庭行ったら危うくキスされそうになってるし。マジ焦ったわ。」

「何怒ってんの?」
私は窓に向かって座っている綾瀬の背中に話しかけた。

「……。」

綾瀬の背中が照れている。チラっとこちらを振り返り、「ちょっと臭いですけど、お隣どうぞ。」と言われた。


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