人の心は変わらない。
自分が育ってきた環境は当り前だと思ってしまう。
それがいいのか悪いのか当の本人は判断のしようがない。
彼の両親は彼が小学生のときに離婚をした。父親がよそに女をつくって出ていった。
彼は父親のことがすきだった。父を憎むことも責めることもしなかった。
そのかわりに男はあるいは父親は普通そのようにするものなのだという考えを持つようになった。
彼は二度離婚した。最初の奥さんとの間には一人、二度目のときには二人の子供がいる。
月に七万円と十万円がそれぞれの養育費だ。
彼の行動が子供達に及ぼす精神的影響などは考えはしない。
彼も子供時代は父親無しで育ち、今は立派に成人している。
何の問題もない。彼はそう考える。
３０歳そこそこの彼の月給はそんなに高額のはずもなく経済的には確かに余裕はない。
しかし、そんな彼を選んで一緒に暮らしはじめた女性がいる。
もちろん二度目の離婚は二人が恋に落ちてからほどなくしてからのことだ。
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