「…大輝」
確かに聞こえる吉岡の声にまた涙がでてきた。
先生は奇跡だと言った。
―次の日
ガラッ
「あ、大輝!」
僕が病室に入ると吉岡はそう言った。
吉岡は左腕骨折、頭部軽傷の怪我をして全治2ヶ月の入院をしている。
頭と左腕に包帯を巻いてる姿を見ると心が痛くなる。
「吉岡、ごめん。僕がちゃんと歩いてればこんなことにはならなかったのに…」
病室に来てからの第一声がこれだとどうかと思うけど謝りたかった。
「いいってば。…でもお詫びに毎日見舞いにきてくれる?」
悪戯の入った顔で言ってきた。
「うん、毎日行くよ。」
吉岡は予想もしてなかったのか驚いた後、頬を赤らめた。
「ありがと、大輝。私昔から大輝の優しいとこ好き!」
そう言って笑顔を見せてくれた。
僕と吉岡は幼なじみで、いつも一緒にいた。
小学生までは花歩って呼んでたけど中学生からは恥ずかしくて呼んでない。
吉岡の笑顔を見たのは何回目だろう、だから気付いた。
この笑顔は本当は笑ってないことに