「もう一度、話がしたい。」
『カズヒロ。』
「ん?」
『…ごめんなさい。』
その言葉は、ずっしりと重い感情をカズヒロに運んでくれた。
『私言い過ぎた…。カズヒロを傷つけてしまったかもしれない。』
カズヒロはどうしようもできない気持ちでいっぱいになり、アキを抱き寄せた。『カズヒロに、淋しい思いをさせたかもしれない…。』
カズヒロは、アキをぎゅっと自分の胸に抱き寄せて、自分の真の気持ちを言った。
「俺こそ…ごめん。」
手話を使わなかった。
「謝るのは俺の方だよ。」アキは、カズヒロの体から振動がくるのを感じながら、カズヒロの温もりに踞っていた。
何か喋ってる…。
私に対する言葉を、言ってくれてるのだろう。
カズヒロは、
「アキ。」
と肩を叩いた。
『カズヒロ…。』
「ごめんね。」
『これで…またずっと一緒にいられるね。』
カズヒロは満面の笑みで笑ってみせた。
『でも私…まだ…。』
アキは急に俯いた。
カズヒロは何となく予想がついた。
「ユウタや、ヒロ、サユのこと?まだ溝があるんじゃないかって?」
『そう…。』
「じゃあ、とりあえずついてきて。」
カズヒロは、アキの手を握って走った。
『え?何?』
「どこへ向かっているかは、お楽しみに…ってとこかな。」
『何それ?』