仲直りパーティーでたくさん話したので、2人とも何を話したら良いのか分からない。
長い沈黙が続く。
ドクドクと心臓の音がよく聞こえるほど。
『カズヒロ。』
「アキ。」
2人同時だった。
『あっ…カズヒロからでいいよ。』
「あ…じゃあ俺からで。」カズヒロは、冷たい風に吹かれながらも、話し始めた。
「今日は良かったよ。アキの小説家になる夢が知れて。俺、応援してる。」
『…ありがとう。』
アキは満面の笑みを浮かべた。
その笑顔は誰よりも可愛らしく、誰よりも輝いて見えた。
「で…アキは?」
するとアキは、バックから束ねられた紙を取り出した。
「…コレは、絵本?」
『私が、あなただけに送る物語。』
「アキが…俺だけに送る物語?」
カズヒロは聞き返した。
『絵…下手だけど、頑張って書いちゃった?』
題名…。
がんばったで賞。
「…がんばったで賞…。」
アキは小さく頷いた。