Kiss me!*4

玲唯  2010-10-31投稿
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「あーっ!」


 私はあいつを指差して大声を上げた。


「おはよ、ユキ」


 あいつはにこにこしながら1歩前に出てきて、私はさっとナナミの後ろに隠れた。


 てゆーか、何で呼び捨て?


 あなたにだけは、呼び捨てにされたくない。


「何だ。知り合いだったのか」

「じゃ私たち意味ないね」

「え、ちょっと!」

「あとは若い2人に任せた!」

「ユキ、頑張ってね」


 ナナミとマサトは気を利かせたつもりでいるようで、私たちを残して教室に入っていった。


 こいつとは何も話したくない。


 私は自然に立ち去ろうとした。


「ねえ」


 後ろから制服の袖をつかまれて、私は立ち止まった。


 これ昨日もあったよね。


「メアドとケー番教えて?」

「は?」


 カチンときた。


 私は腕を振り切って振り向いた。


「他に言うことないの?!」

「他って?」


 忘れてるのか、ただ鈍いのか、からかってるのか。


 そっちはどうだか知らないけど、私にとってはファーストキスなのに!


 あの言いようからすると、謝罪の言葉は出てこなそう。


 それならそれでいい。


 もう2度と顔見たくない!


 ビンタしようと思ったけど、周りに人いたらか諦めた。


 私は目の前の人を睨みつけて教室に向かった。


 *


 昼休みになって、皆お弁当を食べようとグループを作り始める。


 そこにナナミがお弁当を持ってやってきて、私たちは机をくっつけてお弁当を食べ始めた。


「そーいえば、ケイタくんとはどーなった?」

「ケイタ?」

「今朝の人だよ。名前知らなかったの? 福崎啓太くん」


 こんなのフェアじゃない。凄い悔しい。


 私はあっちの名前知らなくて、あっちは私の名前知っててさ。


「メアド交換した?」

「聞かれたけど断った」

「え! もったいない!」

「もったいなくないよ」


 そう言って卵焼きを口に運ぼうとしたとき、私の携帯のバイブが鳴った。




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