「ね、お祝いに写真とろーよ!」
吉岡がデジカメを鞄から取り出した。
「さっ、はやく並んで!」
僕と松村は吉岡のされるがままに配置された。
「はい十秒間だけ待ってくれるから笑ってー!」
カシャッというシャッター音が聞こえた。
「ん、よくとれてる!」
「へぇ〜花歩そーゆーの得意なんだ」
松村が感心したようにいった。
「いや、初めてだよ」
初めてにしては上手だな。
「に、しても人が僕達以外いないね。」
「そりゃ秋だもん!海っつったら夏でしょー」
「連れてきたあんたが言う言葉じゃない」
呆れたように松村が吉岡に言う
そんな感じで昔のようにずっと話した。
「―と、3時だ。ごめん、私これから塾あるからここまで」
突然松村が呟いた。
「あ、そっか。残念だな〜」
「いーじゃん。またいつでも話せるし!それじゃまたね」
「…うん、またね!」
吉岡はそう言った。
松村がいなくなって僕達は暫しの間黙っていた。
僕はこんな沈黙が嫌いではなかった、
「大輝、私達もかえろっか!」
その沈黙を破ったのは吉岡だった。
「…うん。帰ろう」