ベースボール・ラプソディ No.50

水無月密  2010-11-03投稿
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 うるさいギャラリー達を駆逐した八雲は、グランドの一隅で談笑する小早川と須藤に気づき、歩み寄っていた。

「モテモテだな、八雲」
 茶化す小早川に、八雲は渋い顔をした。
「練習に集中できんっ、迷惑なだけだっ!」
 八雲らしい反応に、小早川と須藤は微笑んだ。

「昨日の試合じゃ大活躍だったからな、お前は。
 騒がれても仕方ないだろうよ」
 笑顔で語る須藤。

「あいつらの中で試合を見に来た奴が何人いる?
 試合結果だけ見て騒ぐような輩に、愛想をふりまく必要はねぇっ!」
「そりゃそーだな」
 須藤は笑いながら相槌をうった。

「そういえば竜之介、スタンドの最前列に陣取ってた時もそのサポーターつけたけど、いつもつけてるのか?」
 須藤の左肘に視線を落とす小早川。

「これか?
 これは八雲が頭数で不利だから、乱闘になったら加勢しろっていうんで、臨戦態勢でスタンバったんだ。
 なのに、小競り合いにすらならなかったじゃねーかっ!」
 そういって須藤は、八雲を睨んだ。

「高校野球の試合で乱闘なんて、まずおこらないよ」
 発声原に視線をむける三人は、歩み寄ってくる哲哉に気づく。

「……この野郎、ハメやがったなっ!」
 再び八雲を睨みつける須藤。

「てっきり大澤が騒ぎをおこすとおもったんだがなぁ」
 頭をかく八雲に、哲哉は呆れてため息をついた。
「そんな事いってると、また大澤さんに殴られるぞ」




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