扉が開く音。
住宅の一件から、人が出てきた。
大柄な男は瞬時にナイフを閉まった。
人前で殺るつもりはないみたいだ。
助かった、のか?
出てきたのは男の人のようだ。
男性は僕の方に向かって歩いてきた。
この人に合わせて逃げよう。
あれ?
その男性は明らかに見覚えがある。
いや、どうみてもノックさんだ。
ノックさんが真剣な表情で向かって来る。
いつものノックさんとは違う。
その目はなにかを俺に伝えようとしているようだ。
あと数歩で、ノックさんが僕の場所まで来る。
逃げろ!!
ノックさんからそう伝えられてるような気がしたその時。
「おい!あの男、反応がある!!一般人じゃない!!」
普通くらいの背のスーツの男がそう発したと同時に、ノックさんは全力で走り出し、大柄な男も再びナイフを取りだし、こちらに走り出した。
「春!逃げるぞ急げ!!」
「えっ?」
とは言いつつも僕も全力でノックさんと共に走り出した。
やっぱりあの二人、速い。もう一人は遅れて追いかけだしたが、どちらもかなりの速さだ。
「春、お前ちゃんと正門から帰れよ!裏門から帰ったらわかんねぇだろ!?」
「いや、そんなこと言われても、何が起こってんのかもわからないんですよ!?ていうか、ヤバイです。あの人、人気がないからって公共の道路でナイフ片手に全力です…」
「あぁもう!こんなことあるから助っ人頼んだのに!なんで誰も来ないんだよ!って、ナイス伊島さん!!」そう大声で言いながら、ノックさんは前方をまっすぐ見ている。
同じように僕も前を見た。
前方、少し先、凛として立つ女性が一人。