渡沼は真剣な顔でとんでもないことを話し始めたのだ!
京都達は口をあんぐりとさせて渡沼を見た。何を言っているんだ?こいつは?犯罪を犯した者は全て殺す?そんな事が出来るわけがない……仮にも警察のトップに立つ人間が何を血迷ったことを言っているんだ?と、三人は思っていたが、滝本は渡沼の意見に賛同しているみたいだ
「なっ……そんな事が出来るわけない!!」
大津が声を震わせながらだが、張り上げて聞くと
「ふっ………そう思うか?六年前は確かに優作・千絵をはじめとする人間に反対をされて裁判所に伝えることは出来なかった……しかし、優作達を殺したことによってこの考えは六年の歳月をかけて警察内に滝本の陰からの支援のおかげで浸透させることに成功した……しかし、一月前に優作達の意思を継ぐ者……そう宮本達が反対グループを独自に組織し、またもや私の計画を邪魔してきたのだよ」
「だから殺したのか!」
沸々と湧き出る怒りに身を震わせながら京都が言うと
「そうだ。あいつらを殺すのは簡単だった。男の四人くらい、私と悠馬なら不意を突けば簡単に殺せる。だが、一昨日も殺しの計画を立てて実行に移そうとした時に……そこにいる青山雪野が邪魔をした」
渡沼は舌打ちをして震えている雪野を見た。
まさか、小娘に邪魔されるとは思わなかったのか
「結果的には邪魔だった四人は殺せたがこいつのせいでいち早く口封じをしないといけない破目になった」
と悪態ついていった。
いったい事件の時に雪野は何をしたのだろうか?肝心の雪野は記憶を失ってしまい事件の時は覚えていない。
「事件の時に青山さんは何をしたんだ?」
京都が、渡沼に聞くと
「おっ思い出したわ………何もかも………」
なんと、今まで震えていた雪野がようやく口を開いたのだ!
「あっ青山さん!!」
京都は今まで震えて口を開こうとしなかった雪野が急に声を出したので慌てて振り向いた。雪野は「ごめんなさい……私を庇って……」と、雪野は相変わらず涙を流しながら京都に謝ったが、京都は
「青山さんが無事ならそれでいい」
と、言って雪野を落ち着かせた。
「思い出したって?事件を…か?」
優が雪野に聞くと雪野はコクリと頷いた。