僕と同じ髪の色

快雅  2006-09-04投稿
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 麗久は純弥の長い過去に頭がついていかなかった。
「スカイラーク・・・は、僕がしたこと、恨んでいるのかな・・・・?」
 純弥は冷たく笑った。
「最低・・・だよね、僕。父さんの言った通りに動いて、泣くほど愛した人、殺すなんて・・・・ホント、最低・・・」
「・・・じゃあ、何で・・・・言うこと聞いてんの?」
 恐る恐る麗久は訊いた。
「・・・目が、怖い。」
「え?」
 純弥が怖がるなんて信じられなかった。
「僕を、見透かすような・・・・貫くような、あの目が・・・怖い」
 片手で額を抑えながら純弥が言った。
「たかが・・・目で・・・」
 麗久は急に純弥が幼子のように見えた。父親を怒らせて、そのままそれがトラウマになったような・・・・
「どうしたらいいか分からなくなる・・・。本当は分かってるんだ、『嫌だ』って言ってしまえばそれで終わることだって・・・・!」
 怒鳴ってはいるが覇気はない。
「ねぇ、純弥・・・」
「何っ・・・・」
 麗久が呼びかけると何かピリピリしたものが純弥から感じとれた。
「さっき、何で怒ったの?」
           ?好きになってほしくない?
「それは・・・・」
 それは、君にスカイラークの影を見たから。表で話す君はちっともスカイラークには似ていないけど、ふとした拍子に見せる優しさとかがよく似ている。
「あのさ、なぐんないでよ?あたし的にあんまし、昔のこと根に持ってるの好きじゃないんだよね。わかる?」
 少し顔をのぞき込むような体勢で純弥に言った。
「別に、そのスカイラークっていう子のこと忘れろって言ってる訳じゃなくて、それをいいわけにして、自分の気持ちを隠さないでほしいわけ、いい?」
「・・・訳分かんない、君変・・・」
「な?!」
 麗久はショックを受けたが、純弥の顔を見てちゃんと理解してくれていることが分かった。
 殺人人形と呼ばれた華水純弥も人として明るく笑える、そんなことが分かった一日だった。

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