「鏡君が、私を庇ってくれた時デェジャブが起きてフラッシュバックの様に事件の時を思い出したわ。確かに事件現場には被害者四人と渡沼がいたわ」
雪野が声を震わせながら言うと
「思い出した?なるほど、お前は記憶障害になっていたんだな?」
渡沼と滝本は、ようやくわざわざ事件現場に行った理由が分かった。
今までは、証拠集めに危険を冒していたと、思っていたがようやく真の理由が分かった。
「えぇ。私は一昨日塾の帰り道にあの新台の繁華街を通っていたらパパから貰った指輪が落ちて路地裏まで転がって行ったの。指輪は何とか見つかったけど、いつもは人気のない路地裏から人の話し声が聞こえてきて、興味本位で声の方まで向かっていったのよ。そしたら、宮本さんたちと渡沼が口論になっている姿が見えたの。私はただの口げんかかなと、思って繁華街に戻ろうとした瞬間に、渡沼がいきなり内ポケットから拳銃を取り出したから四人は慌てつつも銃を四人がかりで奪ったの。宮本さんたちは奪った銃で渡沼と交渉するつもりだったみたいだけど、一人が突然撃たれて死んだのよ。今思えばそこにいる滝本がライフルで撃ったのね。私は突然の出来事出で口が開かなかったんだけど、人が死んで悲鳴を上げてしまったの。そうしたら現場にいた四人が私の存在に気づいたの。被害者の三人はすぐに『逃げろ』と、いったんだけど、私は怖くて動けなかったの。そして渡沼は不気味な笑みを浮かべて、私に隠し持っていたKPHLを向けたのよ。私は必死に逃げようと思ったけど全く動けなくてタジタジとしていたら、一人が私の方に走ってきてもう二人は渡沼に襲いかかったの………けど、渡沼に襲いかかった人は渡沼の凶弾で亡くなり、私の方に走ってきた人は、京都君がかばってくれたみたいに、覆いかぶさるようにして守ってくれたんだけど、二発の銃声でわっ渡沼に……私は、目の前で人が殺されてもう恐怖で何もできなかったんだけど、庇ってくれた人が息を引き取る直前に『逃げてくれ』と、いってくれて……わっ私は必死に…にっ……」
雪野はそこまで言うと苦しくて何も言えなくなってしまった。