「何モン…って言われてもちょっとね…、あの子の友達。」
「…見ない顔だな…?」
「こっちにはあの子に会いに来たのよ。古い付き合いだから…………後、”ミサ”の歌を生で聴けるって聞いてきたのだけれど…」
「ミサなら今日はやらねーよ。月末に毎回やってんだ。」
”ミサ”って言うのはこのニュールトリカ……いや、この国を代表する女歌手の名前だ。
レゲェ系の歌でブレイクして以来、この国じゃ”ミサ”の歌がテレビかなんかで流れ無い日は無いくらいだ。このバーでは”ミサ”の生の歌声が月1で聴けるとあって観光客が来るのも珍しくは無い、ライブステージがこんな寂れたバーってのも何か変だが…
「そうなの…?…じゃあまだまだか…」
「来る日ぃ間違ったな。ゴシュウショウサマ。」
「…あら、でも今日はこんな素敵な紳士様に出会えたし…」
女は相変わらず笑顔を絶やさない
「しんしぃ〜…?誰が…?」
「アナタ以外に誰がいるのよ…?」
「……紳士なんて始めて言われた。」