着信が来てるみたいだけど、知らない番号からだったから出るのにためらった。
でも私は通話ボタンを押して電話に出る。
「もしもし……」
「あ、ユキ? 俺───」
速攻で通話終了ボタンを押して携帯をバックに放り込んだ。
それを見ていたナナミは首を傾げながら私を見ていた。
「誰から?」
「あいつから」
「あいつ?」
「……ケイタ」
「何だ、ケー番の交換はしたんだあ」
そんなのしてない!
なのに何であいつは私の番号知ってるの?
名前といい番号といい、教えてもないのに知っていて気味が悪い。
「また鳴ってるよ?」
私は恐る恐る携帯に手を伸ばして携帯を開いた。
今度はメールだったけど、知らないアドレスからだった。
嫌な予感がする。
『何でブチるの???笑』
ケイタからだ。
アドレスまで知られてる。
何で、どうして……。
「何、誰から?」
私は無言でメールをナナミに見せると、ナナミは何の反応も示さずに視線を携帯から私の方に移す。
「何だ。アドも教えてたんじゃん」
「アドもケー番も教えてないって!」
「じゃ何で来たの? 誰かが教えたとか?」
「誰かって、誰?」
「知らなーい」
ナナミはそう言うと、お弁当を食べるのを再開した。
私はもう食べる気がしなくて、お弁当に蓋をしてカバンにしまう。
そして携帯の電源を切った。
*
放課後になって、私は帰宅するため玄関に向かった。
その途中で恐る恐る携帯の電源を入れて、着信やらメールやらが来てないか見てみたけど、どっちも来てなくてほっとする。
着信とメール、拒否設定にしよーかな。
そう考えているうちに玄関に到着した。
下駄箱のロッカーを開けた時、隣のクラスの下駄箱に人が来てロッカーを開ける。
私は靴を履き終えて帰ろうとした。
「あ。ユキじゃん」
聞き覚えのある声、できれば聞きたくなかった声が後ろから聞こえてきた。
振り向くと、そこにいたのはケイタだった。