スレイはマーチン、ボロスと共にグレアムのいる小屋に出向くと、一振りの剣を手渡された。
「これは?」
彼は剣首にある大きな穴を指差した。
「クリスタルをはめる穴じゃよ。ここにクリスタルをはめて初めて力を使えるようになる。ちょっと貸してくれ」
グレアムはスレイから剣を受け取ると、クリスタルを穴にはめた。
「これでいい。すでに力を使える状態にあるから慎重に持ってくれ」
「わかった」
スレイは小さく頷いて、もう一度手渡された剣をゆっくりと掴んだ。
「まだ振ってはならんぞ。何も考えずに振れば勝手にエネルギー波が出てしまうからな」
「ではどうすればよいのだ?」
「意識を集中して振るのじゃ。そうすればエネルギーをコントロールできる」
グレアムは傍らに置いてあった杖を持って、唸りながらそれを静かに下に降ろした。
「このように大げさにしなくてもよいが、集中を高めるのは悪い事ではない。やってみよ」
「…」
スレイは眉を寄せて意識を剣に集中させながら、ゆっくりと下に降ろした。
「…揺れた」
「そう。それがエネルギー振動。剣を通してエネルギーが体の中に入り込む事によって起こる現象じゃ」
「この現象の意味は何だ?」
「エネルギーを体の中で消費する事によって、剣からエネルギー波が出なくなる。研究で出た結論じゃよ」