死にたい、でも死にたくない。
虚無感、無力感。
中身のない、無意味に感じる自分の存在。
他人と違う自分で自分を感じたくなる。
でも、それも無駄な抵抗だと知る。
楽しいことで気を紛らわすが、すぐひき戻される。
あぁ、こんな無意味な世界なんざ滅亡してしまえ…と吐き捨てる。
ある日、外国人に道を聞かれる。
ぎこちない英語を使うも伝わらず、仕方ないので目的地まで連れていく。
偉くぶざまなことしたなとへこんでいたが、予想外に凄く感謝される。
何だかちょっと嬉しくなる。
金曜日の夜、テレビを見る。どうやら世界の終わり系の映画らしい。
見終わったあとなんだかむなしくなる。
ふと、不思議に思う。なぜ、むなしくなったのかと。
世界が終わることが自分が死ぬことを意味するなら、わざわざ世界が終わらなくてもいい。
別に交通事故でもいいのだ。
でも、その二つは全く違うように感じる。
それは、きっと自分に意味を与えるものが消えるからじゃないだろうか。
きっと人は、一人では意味はない。
世界に現れてはじめて意味付けされるのだ。
だから、世界が消えることは自分の意味も消えることなのだ。
今、自分は、
友達にとってどういう意味を持っているだろうか。
恋人にとって自分はどういう意味を持ってだろうか。
家族にとって自分はどういう意味を持っているだろうか。
自分にとって自分はどういう意味を持っているだろうか。
ここに、自分という一人の人間が立ち現れる。
そう考えると、自分の行動に無責任ではいられない。