「消費?」
「そうじゃ」
グレアムは大きく頷いた。
「妙ですな」
マーチンは怪訝そうな表情で、首を傾げた。
「妙?」
「クリスタルを見たのは一度だけと言っていました。それだけでそのような研究結果が出せるのでしょうか?」
「なるほど。いい質問じゃな」
彼の質問を聞いて、グレアムはニヤリと笑った。
「正確に言えば、クリスタルをじっくりと見て手で触れたのが一度だけという事じゃ。この結論はクリスタルクラッシュに聞き取り調査をして様々な視点から分析した末に導いたものじゃよ」
「クリスタルクラッシュから!?この国にクリスタルクラッシュがいたのですか!?」
マーチンは驚いて声を上げた。
「左様。帝国から逃げ出したクリスタルクラッシュじゃがな」
「帝国から?そのような事、父上からは聞いていないぞ」
スレイは困惑したような顔で、言った。
「当たり前じゃ。この事はわしだけしか知らぬからな」
「博士だけ…ですか?」
「奴を王に会わせれば兵士として戦場に送られるのは目に見えておったからな。大事な研究協力者を奪われる事は絶対に避けねばならなかった」
「なるほど…」
ボロスは静かに頷いた。
「研究の成果はいつ出るのだと催促され続け、クリスタルが行方不明になればお払い箱。それでこのような仕打ち。研究者をないがしろにする愚か者共が…」
グレアムは吐き捨てるように言って、顔をしかめた。