「…」
スレイとマーチンは唖然としたような顔で、グレアムを見た。
「…すまぬ。少し興奮してしまったわい」
グレアムは顔を赤くして、軽く咳払いをした。
「この上げ下げを何回続ければいいんだ?」
「百回はやってもらう。短期間で基礎をマスターしたいなら訓練あるのみじゃからな」
「わかった」
スレイは小さく頷いて意識を集中すると、剣の上げ下げを始めた。
「エネルギーを出さない振り方はマスターしたようじゃな」
レムは剣の上げ下げをスムーズに行うザックを見て、大きく頷いた。
「すぐに振動に慣れましたから」
ザックは剣を自由に振り回した。
「ここまでは誰でもすぐにできるようになる。だが問題はここからじゃ。剣を貸してみよ」
レムはザックから剣を受け取ると、それを一振りしてエネルギー波を下に落ちている木の枝にぶつけた。
その瞬間、枝が大きく跳ねて真っ二つになった。
「すごい…」
ザックは息を呑んだ。
「唾を吐くような感覚で小さなエネルギー波を放て」
レムはそう言って、剣を彼に手渡した。
「唾を吐くような…?」
「体に溜まったものを吐き出すような感覚じゃよ。だが、その感覚を間違うと大きさが変わってしまうぞ」
「大きさですか?」
「そう。一歩間違えれば巨大なエネルギー波に呑み込まれてわしもお主もただでは済まんかもしれん」
「…!」
ザックはそれを聞いて、さっと顔を青くした。