なんとなく、深く突っ込めなくて話題をそらす。
「…翅さん、呪いはどうなの?」
「解けてないよ。五年三ヶ月も経ったけど、何も分からない。専門の友達を訪ねたけど、解く術なんて元から無いって言ってたし」
呻くように彼女は言った。
諦めてはいないのだろう。でもどうしょうもないから。だから無気力になってしまう。
「結局、万能薬なんて噂も嘘だった…。腕の良い魔女でも手を出せないって」
クソッ と机を殴る。軋む音が部屋に響く。
もう…時間が無いんだ。
後一年。 後一年で、翅の体は呪いに蝕まれる。病の様に徐々に弱っていくものではない。
ある日突然心を失うのだ。
方法は無い。
でも僕は彼女を助けたかった。