「そっか…行ったのか」
「お前は、知ってたのか?」
「つい2、3日前にな…。由美さんは、家の事情。かすみさんは、辞めるってことだけメールしてきたよ」
「そうか…なんかさみしいなあ。やっぱり距離があると、なかなか付き合いは大変だな…。俺達みたいなおじさんが言うのも変だけど…」
「まあ…さみしくはあるよね。俺がはじめたことだけどね。でも哲ちゃんさあ」
「ん?」
「俺はこりてないよ。二十代前半の頃は、俺達近場で、普通に旅行してたし、まあ…あの頃は、もう1人いたけどね。…でも、恋愛でも友達関係でも、お互いに傷ついてて、それでも、それを払拭しようとして、こんな形で九州まで旅行してさ…間違いなく、いい方向に転がったと思うんだ」
「そうだな…。まあ、俺も懲りずに旅行するよ」
「そうそう、その調子だよ。前にも言ったけど、北の大地でも言ってみるかな」
「おう、北海道かあ〜。いいぜ」
「ところでさあ、明日の大晦日、いつもの場所に集合するんだろ?」
「もちろん!俺は三が日まで休みだから、お前らを待つことになるけどな」
「まあ、うちはテーマパークの特性上、オールナイト営業だから、少し遅れるけどな」
「元旦はどうなんだよ」
「夕方から、閉園まで仕事だよ」
「相変わらずだな」
「接客業ってゆうのは、大変だよ。でもこんな生活が染み付いてるけどね」
「まあ、去年もそうだったけど、今年も俺達、寂しく年を越しそうだな…」
「しょうがないよ。きっと、それが俺達の運命なんだよ」
「…でも、本当に次こそ、大きな展開を期待して、突き進みたいよなあ」
「まあ…近くでそんな出会いを見つけらんない俺達が、行き先を変えただけで、運命的な出会いなんて期待する方が、どうかな?って思うけどね」
「行ってみないとわからないよ。とりあえずチャレンジしようぜ!」
哲彦は、もう吹っ切れていた。
この数年間、いろいろあったが、出会いに対して貪欲になれたこと、りおや文子との距離は、離れてしまったが、またやり直すことを…