「花〜。まだ服買う気?」
勇と久しぶりにショッピングに来た。でも勇はもう飽きたらしく、ブツブツ文句を言い出した。
「後ここのワンピース1着だけ!」
そう言って目的の店に飛び込む私。
「早くしてくれ」と店先で待っている勇。
勇はまだまだ背が伸びているらしく、モデル体型だ。服もカジュアルだが、時計やキャップ帽できちんとおしゃれをしていてセンスがある。
そんな彼を店先に待たせていると、通り過ぎる女の子たちがチラチラ振り向きながら歩いていく。
私は急いで試着を済ませ、レジで会計を済ませる。
「2000円以上のお買い上げの方に抽選券をお渡ししてます。このビルの一階の広場が抽選会場でーす。ありがとうございました〜♪」
一日中の買い物で抽選券を5枚ゲットした。
抽選券を数えながら店を出ると、待ちくたびれた勇がこちらに寄ってくる。
そうするとチラ見ていた女の子たちは私の顔をまじまじとチェックし、通り過ぎる。
私はこの瞬間が嫌いだ。なんて言われてるのか不安になるから。
「なんだ?抽選?」
「うん。5回引けるよ!」
そう言いながら、二人で下りのエスカレーターへ乗り1階の広場を目指す。
エスカレーターでは背の高い勇が1段下に乗りる。
ほぼ頭の位置が同じ高さになり、「時間かかりすぎ」と勇が軽く頭突きしてきた。