Kiss me!*6

玲唯  2010-11-20投稿
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「ねえ。何でメール無視したの?」


 私は一瞥をくれて歩き出した。


「ねえー」


 ケイタは私の後ろをついてくる。


 もう私は我慢の限界だった。


「ついてこないでよ!」


 私は振り返ってそう言い放った。


 ケイタはぽかんとした顔をして私の方を見ている。


「ついてくるな言われても、俺の家こっちだし」

「じゃ話しかけないで!」

「何で?」

「何でって……」

「昨日のこと?」


 何だ、分かってるんじゃん。


 私が頷くとケイタは私の近くに歩み寄ってきて、私は反射的に後退する。


「昨日は……ごめん」


 今、謝った?


 絶対謝んなそーな感じだったのに。


 見直した、かも。


 ちょっとなら許してやってもいいかな。


「次はいきなりやんないから。ね?」

「は?」


 謝ってた時の暗い表情とは一変して、にっこり笑ってそう言った。


 前言撤回。やっぱり絶対許さない!


「ばーか!」


 私は大声で言うと、早足で家に向かった。


 *


 いきなりやんないから、って何!


 そーゆーことじゃなくてさ……ああ、もういい!


 家への道を歩いていると、後ろから誰かの声が聞こえた。


 振り返ると、私の少し後を追いかけてくるケイタの姿があった。


「待ってよ、ユキ」

「ユキって呼ばないで!」


 首だけ後ろにやってそう言うと、歩調を早めてケイタと距離をあけた。


「俺謝ったよね? 止まってよー」

「話しかけないで!」

「……じゃ、毎日メールとか電話するよ?」

「は?」


 何それストーカー?!


 でもやりそうな感じする。


 私はため息をついて立ち止まった。


 私に追いついたケイタはニコニコしながら私の隣に来る。


「手繋ぐ?」


 私は無視して歩き出す。


 早く歩いてるつもりでも、歩幅が大きいケイタと並んでしまう。


 もうやだ。


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