むかし一匹の蝶の幼虫がおりました。
その幼虫は他の幼虫と少し変わっておりました。
他の幼虫は皆サナギになる準備をしているなか一匹だけ何もしていないのです。
理由を尋ねると幼虫は
「サナギになんてなりたくない」
と言いました。
すると他の幼虫は
「サナギという時期を迎えないと蝶にはなれないよ」
と言いました。
幼虫は
「サナギになるくらいならずっと幼虫でいる」
と言いました。
ある日
幼虫達はサナギになりました。
しかし一匹だけまだ幼虫のままでした。
幼虫は思いました
何故サナギという時期を迎えないといけないのかと…。
答えは分からないまま春になりました。
サナギ達は次々と美しい蝶になりました。
しかし一匹だけ幼虫のままでした。
一匹の蝶が幼虫に言いました
「サナギという時期はとても辛かったけど蝶になるためにみんな頑張ったんだ、君は蝶になって空を飛びたいと思わないの?ずっと地面をはいずる幼虫のままで良いの?」
幼虫は蝶の話しを聞いてとても後悔しました。
みんな蝶になって飛んでいる中、一匹だけ地面に取り残されたのです。
幼虫は思いました
あの時サナギになっていれば良かったと……。