カズヒロは鬼のような形相を浮かべている。
「やだなぁ。そんな怖い顔しないでくんない?」
カズヒロはアズサを殴ろうとした。その時、
「ほらほら、もうすぐ授業よ!」
柴山先生が教室に入ってきた。
その目は、カズヒロに向いた。
「あなた…何してるの。」「…。」
カズヒロは殴ろうとしていた手を下に降ろして、席についた。
「はい。それでは授業を始めます。教科書90ページ…。」
アキは、
『先生…。』
「…何?アキさんも早く席につきなさい。」
『…保健室…行ってきます…』
震える手でなんとか伝えて、アキは逃げるように保健室へ向かった。
「俺も。」
カズヒロもアキの後を追う。
「私も。」
「俺も。」
それに続いて、ヒロ、ユウタ、サユ。
「ちょっと!」
柴山先生は困った顔の裏では、不敵な笑みを浮かべていた。
アズサは、そんな先生が怖かった。
階段を泣きながら降りていくアキを、カズヒロが捕まえた。
「…大丈夫だから。」
カズヒロはギュッとアキを抱きしめた。
「俺がついてる。俺がついてるから…。」
カズヒロは早口でアキに伝えた。
『顔…怖い…。』
「え?」
『カズヒロの顔…怖い…』そうだ。さっきまでアズサを殴ろうとしていた俺だ。確かに怖いに違いない。
かといって、笑うことができなかった。
「まぁ…アキはゆっくり休んで。」
『うん…。』
そこに、3人もようやく追い付いた。
「カズヒロ…どういうこと?」