「ねえ、いつまでついてくるつもり?」
家の近くの十字路に来たとき、冷たい声でケイタに言った。
「ユキはどっち?」
十字路のところに来た時、ケイタがそう聞いてくる。
「……右だけど」
「俺真っ直ぐだから、ここまでだね」
「そう」
私が右に曲がった時、後ろからばいばいって聞こえたけど無視してやった。
しばらく歩いていると、携帯が鳴った。
私は画面を見ずに通話ボタンを押した。
「あ、出た!」
この声はケイタだ。
「何なの? かけてこないでよ」
「えー。だって、もっとユキと話したいんだもん」
切ってやろうか。なんて思ったけど、それは止めにして質問してみることにした。
「私のアドとケー番、誰から聞いたの?」
「ああ。マサトからだよ」
「……そうなんだ。じゃ」
電話を切って、携帯を握りしめる。
「マサトの奴……」
明日、覚悟しとけ!
心の中でそう叫ぶと、私は玄関の戸を開けて乱暴に閉めた。
やっぱり拒否設定にしとこうかな。
いや、一応登録しとこう。
ケイタのアドレスと番号を登録した。
こっちから連絡することはないだろうけど。