華蓮

ふく  2010-11-24投稿
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横を向いた時の君の首筋
呼吸をする度に浮き出る鎖骨
『指輪、何か抜けるようになって』
そう言って君は指輪をしなくなった
初めての君へのプレゼント
何もない君の右手の薬指が切なかった

少しずつ冬の気配を感じる夜風
冷たくなった君の手を少しでも暖かくしてあげようと握り締めた
その手が一回り小さくなった気がした
震える肩を温めてあげたくて君を抱き締めた
触れた君の背中が少し薄くなった気がした
それが悲しくて涙が溢れた

『どうして泣くの?』
僕の顔を不安そうに覗いた
そんなに君の眼大きかったかな
こんなに君の肌白かったかな
『君の事苦しめてばかりだね』
そう言うと君が僕の唇に触れるくらいのキスをした
君に言葉はなかったけど
君も眼に涙を溜めて悲しそうに笑った
『それ以上言わないで』と言っているような気がした

僕の右手を握り締めてただ黙って空を見上げていた
こんなに君は綺麗だったっけ

『大丈夫』
そう言って空を見詰めていた
痛い程の君の想い
どれだけ受け止めてあげれただろう
どれだけ苦しめてきたのだろう

ゆっくりと瞬きをして僕を見る君の眼
少し意地悪そうで鋭い君の眼が大好きだった
でも少し変わった気がした
僕を見る眼が寂しそうで
今にも泣き出しそうで
でも真っ直ぐ見詰めるその眼は優しくて

『どうしたの?』
僕の問い掛けに君は少し笑って恥ずかしそうに眼を反らした
笑顔が消えた君の表情には嘘はなかった

『私はこの恋が最後の恋でも構わない。だってね、最後に愛した人があなただったとしたら、それは最高に素敵な事だと思うの。』

その言葉に泣いた
僕を愛してくれた
こんなに素敵な人が
こんな僕の事を愛してくれた

だから君の肩を抱いた
次は僕が君の唇に振れるくらいのキスをした
君の頬が濡れていた
拭った君の涙は冷たい頬には程遠いくらいの暖かさだった



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