『そなたの命を奪うなど造作もない…しかしその剣は邪魔だ』見れば疾風を受けた左翼の一部が傷ついていた。
『忌々しい神の武器か…良いだろう、挑んでくれる!』
ザイラスは一瞬で口に深紅の炎を溜め、リシュアめがけ吹きかけた。リシュアは後ろに飛び退きそれをかわす。灼熱の魔竜の火炎に地面も瓦礫も黒い塵と化す。火炎はさらに勢いを増しザイラスから放たれ、リシュアは器用にかわした。
だが、かわせばその分街は破壊され、まだ門の瓦礫の山には人もいる…
(逃げていては駄目だ!)
リシュアは意を決しザイラスの正面に向かい駆け出した。
「無茶だ!」
それまで戦いを見つめるだけだった男は、リシュアの無謀な様に声を荒げた。