アキへのいじめが始まって3日後、カズヒロは部室の鍵を借りに職員室へと向かった。
今日は土曜日。部活もサッカー部と、体育館の部活しかなく、あまり人通りはなかった。
先生も皆顧問や、休日で、職員室には誰もいないはず。
カズヒロはいつもどおり扉に近づいた。
すると、中から話し声が聞こえた。
「よくやったわね。はいこれ。もう1万プラス。」
…柴山先生の声。
もう1人は、
「ありがとうございます。」
アズサ。
え?この2人の関係は?しかもお金を渡していた?
カズヒロは耳を澄ました。「これからも、アキさんを精神的に苦しめてこの学校を自主退学するまで追い込んでね。あなたもお金には困ってるんだし…一石二鳥よね?」
アズサが…使われてる!
アズサは…真の黒幕ではなかった。
真の黒幕は…柴山先生だった。
ろう学校へ行かせたかったが失敗して、
今度はアズサを傘下にしてアキを陥れるなんて…。
全ての謎が解けた。
なんて残虐な奴だ…。
アズサが職員室から出てくると同時に、カズヒロは、「こっちへ来い。」
アズサを強引に体育館の裏へと連れていった。
「何だよ!はなせよ!」
アズサは強引にカズヒロから逃げた。
しかし、カズヒロにまた掴まれた。
「…全て分かったぞ。アキをいじめてたのはお前だ。だがそれを操っていたのは担任の柴山…。お前はアイツから金をもらってアキをいじめてたんだろ、そうだろ?」
アズサは大人しくなった。「お前最低だな…。金の為に人をいじめるなんて…。」
するとアズサは、
「私の家の事情なんか知らないくせに。」
「あぁ知りたくもねぇよ。貧しい?親が病気とか?」「そんなんじゃねーよ。」カズヒロをアズサは睨み付けた。
その目は助けを求めているようにも見えた。