「怖くなったか?じゃがお前さんはこの役目を引き受けてしまったのじゃ。後戻りはできんぞ」
「…後戻り…できない…」
彼は震える声を出して俯いた。
「これでは後出しじゃんけんみたいなものじゃな。最初にこの話しをしておくべきじゃった。すまん」
レムはザックの様子を見て、しまったというような表情で頭を下げた。
「…どのくらいの頻度でこの力を使えば精神をやられずに済むんですか?」
ザックは不安げな表情で尋ねた。
「小さな力ならいくら使っても支障は無い。ただ、大きな力を使うのは一年で十回程度にした方がよい」
レムは手を広げて全ての指を前に出した。
「十回…それを超えると…」
「精神的負担が大きくなる。二十回以上使うと確実に精神に支障をきたす」
「なるほど…わかりました」
ザックは大きく頷いた。
「物分かりが良すぎるのも、考えものじゃの」
レムはそう呟きながら、頭を掻いた。
「精神に支障をきたす?」
スレイは眉をひそめて、言った。
「左様。大きな力を使うとその代償として多大な精神力を使ってしまい、精神に異常が起きる事があるのじゃ」
グレアムは書類を見ながら説明した。