道中、もう1件の家の前に車が停まった。
そう、ニュースでやっていた。
健太の他にも3千人選ばれているのだ。
「もう1人のるぞ。席を空けろ。」
「…はい…。」
すると、同じく両腕を掴まれた女の人が車に乗せられた。
「どうも。」
その女の人はそっけなく挨拶した。
「…よろしく。」
…不良っぽい雰囲気を漂わせているな。
第一印象はそうだった。
「名前は?」
最初に口を開いたのは女の方だった。
「青峰…健太。」
「ふーん。」
「ふーん…って、あなたは?」
名乗ったのだから名乗るのが普通だろ。
健太は心の中で呟いた。
「瀬津杏。」
「そう…。」
1つ、疑問があった。
何で、杏さんは冷静でいられるんだろう。
健太は思い切って聞いてみた。
「あの…何で冷静でいられるんですか?」
「だって私、自分からこの心理調査希望したから。」
「あ…そうなんだ…。」
健太はこういう人もいるんだなと物珍しそうな目で見つめた。
「何だよ。見つめんじゃねえよ。気持ち悪い…。」
これが2人の出会いだった。思い返してみれば。