ここはユーアと呼ばれる大陸にある小さな村
『スピカ』と呼ばれている
小さな川が流れ緩やかな丘がある
この村に2人の兄妹が住んでいた
「お兄ちゃん今日は早く帰ってくる?」
「あぁわからないよ。今日はレミアさんに呼ばれているから」
少年はミカの頭を撫でた
「けどできるだけ早く帰るようにするよ。ミカも早く病気を治す為にもちゃんと眠っておくんだよ」
「うんわかった」
ミカは少年に微笑みながら言った
少年もまた微笑んだ
俺達には両親がいない
何のあてもなくたださまよっていたらいつの間にかこの村にたどり着いた
村にはとても温厚で優しい人たちばかりで俺達兄妹を温かく迎え入れてくれた
スピカに住んでもう8年がたった
俺は16、ミカは14になっていた
いろんな人たちに助けられながら俺達はここで生きてきた
これからもここで生きていく
いや生きて行かなくてばならない
「シン」
小さなギターを持った1人の女性が少年に声をかけた
「こんにちはルミアさん」「ああこんにちは。ミカちゃんの具合はどうだい」
「今日はいつもよりは元気で顔色もいいですよ」
少年は
『シン』はルミアにそう言った
ミカは数年前から原因不明な病気に掛かっている
酷く咳き込んだり苦しんだり
高熱などの症状が何年も治まることなく続いている
「シン今日はレミアに呼ばれているのだろ?」
「はい、これから図書館に行くところです」
図書館は丘の上に建っているスピカで一番大きな建物
そこの館長でスピカの長でもあるレミアに呼び出されている
「そうかい。ならヨロシク言っといてね」
ルミアはレミアの双子の妹だ
ルミアはいつもスピカの広場でギターを弾き歌っている
何処の言葉か解らない歌をよく歌うが本人もよく解らないと言っていた
ルミアとレミアはよくこの兄妹の面倒を見てくれている
兄妹は2人を親や姉のように慕っている
「じゃねぇ」
とルミアは言うと広場の方へと行った
「早くレミアさんの所に行かないと」
シンは丘の上の図書館へ走った