「出た!明菜のシンジびいき。後の二人はオマケなのよねぇ〜」
「そんな事ないもん」
これまた形のよい唇をとがらせて明菜が言った。
「大体、あんなんのドコがいいのよ?我が弟ながらブクブク太ってさ。あんたも彼氏の一人や二人ぐらいいないの?せっかく可愛く産んであげたのに」
冗談めかしてヒトミが笑う。この美人はころころとよく笑う。やはり三人と同じ石塚の血なのだろうか。
「ふーんだ。こう見えてアタシ結構モテるんだから。こないだなんか、女子生徒のアイドル的存在のサッカー部キャプテンに告られたんだよ」
「えっ?それでそれで?」
ヒトミがはしゃいで聞く。
「ちょっと、お母さん落ち着いてよ。何でもないよ。断ったし」
「ええ〜っ?どうして?もったいない」
「いや、何てゆーか…。その…。いい男ってゆーか、イケメンって何となく苦手でさ」
「だからと言ってシンジはないでしょうが。あんたデブ専?」
「いや、そうじゃないんだけど」
「言っときますけど、実は血が繋がっていなかった、なんてオチはないからね」
ヒトミは言いながら目を反らした。