「ほら、この話題になるといっつも目を逸らすんだから。そーゆー曖昧な態度が乙女に淡い期待を抱かせるのよねぇ」
明菜がふざけて言う。
「バカ話はここまでよ」ヒトミは台所に行ってしまった。
あ〜あ、何でおじさん何か好きになってんだろアタシってば。でも本気だって事はバレないようにしなきゃね…。今のところ家族にはブラコンの類いくらいにしか思われてないようだし。
しかし、本当にドコが良いんだろう。デブだし。
いやいや優しいんだよ。ああ見えても。デブだけど。
何でも知ってるし、頭の回転早いんだから。本人は隠してるみたいだけど…。そこがカッコ良いんだよねぇ。デブだけど。
イケメンではないけど愛嬌あるかわいい顔してると思うんだけどなぁ。いつもは無愛想だけど。あと、デブだし。
いや、顔とか体型とかって別に好きになるのにあんまり関係ないのよ。アタシにとっては。
だって整形すればどんな顔にもなれるわけじゃない?そしたらさ、もう後は人間性とかフィーリングじゃん。経済力とかもあるだろうけど高校生にとっては余り気にならないしぃ。
それなら、生まれてこの方女の子にモテてる苦労知らずのイケメンより、ブサイクでも真面目で気の優しい男の方が良いと思うんだけど。アタシってヘンかな。
周りからはよくヘンって言われるな。そういえば。
「何であんないい男振っちゃうの!?ヘンよアンタ」とかね。だって、世間体で男と付き合うなんてイヤだもん。
彼氏いなきゃいけないわけじゃないでしょ。
無理して好み合わせたってすぐに疲れちゃうよ。きっと。長続きなんてしない。
みんな、誰かと一緒に居ないと不安なんだろうな。
アタシはわりと平気。
だから今はシンジ兄さんラヴでいいわ…。
デブだけど。