「優、この学校の死神伝説知ってる?」
琥珀はいきなり真剣な表情になった。
伝説とは、以下のことだ。
学校のどこかに死神がいて、会ってしまうと『お前の願いを3つ叶えてやる。叶えたからには礼をもらう。それなりの願いを3つ、どんなものでも良い。叶えてやる。』そう言われるらしい。そして願いを言わなければ喰われてしまう。
願いを叶えてもらっても喰われてしまうのだが、その場合は全く痛みをかんじないのだそうだ。
ただただ喰われる。
喰われている天使や悪魔の羽は骨になっていく。
骨になってくだけおちる。
その前に学校にいるシスターが浄化をすればいいのだが、あいにくシスターは他の地域へ1年間行ってしまっている。
そのため浄化が出来ずにもう26人の人が亡くなったらしい。
「知ってるケド、なんで?」
「普通、死神に喰われた人は意識を失って目に力が宿らなくなるんだ。」
「ふーん。そこまでは知らなかった。」
「ボクの目はどぅ?」
「琥珀の?普通ね。…え?もしかして」
「うん。ボクも喰われたんだよ。」
優は、言葉が出なかった。
想像してなかった。
こんなに元気で明るい琥珀が、喰われていたなんて。
「…でもなんで琥珀はそんなに明るいの?喰われる直前だったとか?」
「全て喰われたから羽がないんだよ。ボクは特殊だった」
「そうなんだ。まあ、特殊ならいいわね」
「まあね。もぉこの話は終わろうよ!」
「そうね!あ、そういえば琥珀はどうしてシスターを知ってるの?」
「小さい時からずっとお世話になってるんだ」
「私も!私達は小さい時に会ってたの?」
「そうなるね」
「二人は昔から仲が良かったのよ。だから今一緒に話してて私驚いちゃったわ。」
パッと横を見るとシスターが心花のパイを持ってにこやかに笑っていた。
「心花のパイだ!甘いやつだよね!」
「私が食べた時はほろ苦かったわ」
「心花は人の心によって味がかわるのよ。面白いでしょ」
「そーなんだ!…美味しい!やっぱり甘…あれ、ちょっと苦い?チョコみたい!」
優もドキドキしながらもパイを一口かじった。
「私のは最初は珈琲みたいな苦みだけどすぐに甘くなった!」
優はとても幸せだと感じた。