天使か悪魔か【4】

 2010-12-05投稿
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楽しそうに話す二人を見て、シスターはゆっくりと語り始めた。

「二人はずっと一緒に遊んでたのよ。でも琥珀が老婆に引き取られた。琥珀はそのこと覚えてる?」

琥珀はにわかに笑い「そのお婆さんすぐに死んじゃったよね、ボクのせいで」と呟いた。
優も「琥珀は悪いことなんてしてないわ!」と、真剣になって言った。

「でもみんなボクのこと『怪獣』って呼ぶ。やっぱり悪魔はひどいって。」

「琥珀、悪魔だったの?」

「言ってなかったけ、ボクは悪魔。『怪獣』の悪魔だよ。羽がなくたってそう。そんな弱ってるボクのところに死神がきたんだ。ボクの願いは一つ。あの事件を世間から消すことだった。死神って頭良くて、わざと願いを間違えるんだ。それでボクは何回も願いを言った。ボクは『怪獣』だったから、目がうつろになったり意識を失ったりしなかったんだって」

琥珀は心なしか目に涙を溜めているようで最後に『長くなっちゃったね』と言った。
心花のパイもさっきまでのふっくら感は消えてしなしなだった。
「私も死神に会ってみたいわ。そうすれば私が死神を浄化する。」

「無理だよ。学園にいるあのシスターにしかできない。」

「私も一回浄化したことあるけど」

「え!死神にあったの?」

「悪魔の暴走と聞いたわ。私が浄化をしたって…シスターが。」

「優は神の子ってこと?」

「神の子?」

「シスターも神の子なんだ。ボクも神の子。」

「そうなの?神の子って何なの?」

「簡単に言えば浄化ができる人だよ。ボクはできないけど。神の子の中でもいろいろあるみたい。」

優は心花のパイを口にほおばり、思いっ切り飲み込んだ。
口と喉の境界線の辺りがヒリヒリする。飲み込むときにパイがこすれたのか。いやむしろこれが気持ちの表れなのだろうか。わからない。優は重い口を開けた。

「神の子が死神に食われるとどうなる?」

「ボクは何ともなかったけど」

「私も大丈夫ってことよね」

琥珀の表情が固まった。
優が死神に喰われる前にすぐ浄化をできるか。
優が喰われてしまったら?
琥珀の初めての友達がいなくなる。どう止めたらいいのか。

「それはまだわかんないけど死神には絶対近づかないで。大変なことになるよ。」



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