琥珀と優は、結局ずっと話していて寮に帰るのは夜中だった。
「柏木さん、遅かったじゃない。何してたの」
「ちょっと教会へ…」
「ふーん。あなた絶対怒られるわね。」
「え?」
「今日は夕方から教会に集まるって言ってたじゃない。」
「それは明日ってクラスメイトの方が」
「嘘ね!それなら話が繋がるわ。」
優は息がつまった。 確かに否定はできない。涙があふれそうになり、とっさに部屋を出て行った。
「琥珀。」
「どーしたの?泣いてる。」
「泣いてない。」
「でも今から泣くでしょ?」
琥珀の一言で涙が溢れた。 まるで魔法のように。
「詳しく聞かせて?誰が憎い?」
「クラスよ…え?」
優は目が覚めた。何言ってんだろ私…と琥珀に微笑みかけた。そして、琥珀の表情を見て気付いた。
「あなた…ほんとに琥珀?琥珀じゃないでしょう。そうね、死神とでも言っておこうかしら?」
「…さすがはマリアの娘だな。威勢がある。素晴らしいよ。でも、残念ながら私は死神じゃない。優もよく知っている奴だ。」
「知らないわ。」
「小さい頃だから忘れてしまったかな?もっと一緒に遊びたかったねぇ。」
「…え?」
「所詮、私も悪魔だ。だが、それと同時に…」
「……パパ?」
「BINGO!」
『琥珀』はにっこりと笑っていたが、優の目にはたっぷりと涙が溜まっていた。
「パパ…琥珀はどこ?その体は琥珀のものでしょう?」
「琥珀?ぁあ、これか。これはその琥珀ってのをコピーしたのさ。」
「じゃあちゃんと琥珀はいるのね?」
「おう。そこの部屋にいる。」
『琥珀』の手が指差したのは怪物の間。
「何てことするの!」
「力試しさ。」
「助けに行ってくる!」
優はとても真剣になってた。
がちゃがちゃっ
「鍵が開かない…」
「優が入れないようにね。」
「大丈夫、私は神の子。鍵くらい自分の力を信じれば…」
「神の子…?」
乙夜はひどく動揺していた。
「そうよ。。」
「俺らの子が神の子…」
扉は音をたてて開いた。
中には琥珀が倒れていた。
「大丈夫?今助けてるわ。あれ?魔法がでない…」