首相官邸。
「続々とモニター達が集まっているようです。」
秘書の松山が首相の勝山直人に伝えた。
勝山はうれしそうに顔を赤らめていた。
ふくよかな体にギトギトした肌。典型的なおじさんだが、その性格はかなりの曲者だった。
「アンダーワールドは無法地帯…。さて…、どんな心理戦が繰り広げられるのやら…。」
秘書は、
「きっと、首相のお望みどおり、あれが起きますよ。」
「アレ…とは?」
首相、勝山が尋ねると、
「殺しあいが。」
その言葉を聞いた勝山は、頭をかきはじめた。
「そ…そうか…ムフフ…。殺しあい…ムフフ…。」
「では、ごゆっくりモニタリング頂くために、モニタールームまで…。」
秘書は冷静に、興奮状態の勝山をモニタールームまで移動させた。
「では、ごゆっくりどうぞ。」
「うむうむ…。」
車で1時間半ほど。とある山のふもとに、
ぽっかりと開いた穴。
穴周辺には、何十台もの車が停まっていた。
「ここが…アンダーワールド入り口…。」
杏がつぶやく。
「地下施設…。」
健太も手の震えを押さえて言った。
「中へ入れ。」
2人の男に促され、杏、健太は中へと入っていった。
これからしばらく、地上とはおさらばだ。