「まあいい。時間は無いが、何とかなるように知恵を絞ってみる」
「無茶はするなよ」
エナンは不安げな表情で、リカルドを見た。
「大丈夫だ。上司がいなくなるまでは死ねんよ」
リカルドはニヤリと笑ってフードをかぶりながら、路地裏から立ち去った。
「…俺も、あいつらがいなくなるまでは死ねんな」
エナンはそう呟いて、同じく路地裏から立ち去った。
「はっ!」
ザックは最初に放ったエネルギー波を続けざまに放ったエネルギー波によって撃ち落とした。
「これで基礎は終了じゃ。ちょうど一週間。まあ、こんなもんじゃな」
レムは大きく頷いた。
「ある程度エネルギーを自由に扱えるようになったじゃろ?」
「はい。コツはつかめてきました」
ザックは嬉しそうな顔で小さく頷いた。
「うむ。これでわしの役目も終わりじゃな」
レムはやれやれといった顔で持ってきた椅子から立ち上がると、家に向かって歩き出した。
ザックは剣からクリスタルを抜いて懐に収めた。
―クリスタルの扱いも慣れてきたよなあ。
彼は小さく息を吐いて、レムが座っていた椅子を持ち上げた。
―今日で終わりか…。
「案外短かったな」
「何が短かったんだ?」
「!」
突然後ろから声をかけられて、ザックは飛び上がらんばかりに驚いた。
「だ、誰だ!?」
「誰かって?ダリル様だ!」