Kiss me!*8

玲唯  2010-12-09投稿
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 翌日、家を出て十字路へ向かうとケイタが塀に背中をつけて立っていた。


 私は自然にケイタの前を通り過ぎる。


 するとケイタは小走りで私の横にくると並んで歩き出した。


「おはよ、ユキ」

「……おはよ」

「今日いつもと髪型違うね。俺のために気合い入れた?」

「違う!」


 確かに今日はいつもと髪型違う。


 いつもは髪を下ろしてるけど、今日はハーフアップにして毛先を巻いてみた。


 けどこれは気分。本当に気分。


 あんたのためじゃないし。


「いつものもいいけど、今日のも可愛いね」


 そう言われて、ちょっとドキッときた。


 正直、嬉しい。


 うわ。何、私!


 こいつは私のファーストキスを奪った奴なんだよ?!


 どうせそんな言葉、他の子にも言ってるに違いないんだから!


 その時、前の方にマサトの姿を見つけた。


 私は走ってマサトの方へ向かい、背中を強く叩いてやった。


「痛っ! 何だよ、ユキ!」

「何であいつに、私のアドとケー番教えたの?!」

「別にいいだろー。無断で教えたことは謝るけど」


 これ以上攻めてもしょーがないなあ。


 私が大きなため息をすると、ケイタがやってきて話に加わろうとする。


「何の話?」

「何でもない」

「あ、ケイタ! 何で昨日掃除当番さぼったんだよ?!」

「ユキと帰りたかったから」

「あのなあ。ユキからも何とか言ってくれよ……。って、いねえし」


 マサトがケイタに話み振ったことをいいことに、私は2人をおいて学校へ向かっていた。


 ケイタとはなるべく関わりたくない。


───『いつものもいいけど、今日のも可愛いね』


 思い出して、顔が赤くなったような感じがした。


 どうした、私。


 ただ今まで言われたことないから、免疫ないだけかな。


 うん。そうだよね。そうに決まってる。


 私は自分にそう言い聞かせて校門をくぐった。


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