スカバンburn!!〜夢〜 -103- 好きじゃなければ

きゃしー  2010-12-12投稿
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翼「…」

家を飛び出した翼は、うつ向いたまま見知らぬ場所を歩いていた。


(…くっそ…くそくそくっそー)

頭の中をぐるぐると先ほどのやりとりがめぐる。ちひろの言葉、黙ってうつ向いたままの伸昭、そして今にも泣き出しそうな美弥の表情。握り締めた拳が痛かった。

(俺だってわかってんねん…でも…先なんかちっとも見えへんやんか…)

諦めた時のことを想像すると気持ちがほっとする。諦めないで進む自分を想像すると気持ちが重くなる。そんなことを考えながら歩いていると、交差点にさしかかった。聞き慣れたメロディが耳に入り、翼は顔を上げた。

高いビルの大画面に映りだされたのは“ワイルド・ワン”のプロモーションだった


画面に映った4人と自分の間の距離――その遠さを感じて、翼の拳にますます力がこもる


(夢なんかなかったら、もっと楽な道を選べんのに…音楽なんかなかったら、俺は夢なんか見いひんで良かったのに…音楽がなければ…)





翼の足はとまらない





目の前の青信号は点滅を始めていた







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