｢お前、いつからそんなうらやましい名称で呼ばれるようになったんだ！？｣
｢うらやましいって何だよ｣
｢わかってない！お前はわかっていないぞ！お兄ちゃんと呼ばれる事がどれだけ高尚な事か！｣
彼は熱を込めてそう叫んだ。
ザックは呆れたような表情でダリルを見ると、
｢エミルちゃん、こういう人にはあんまり近づいちゃダメだよ｣
と、エミルに言った。
｢？｣
エミルは小さく首を傾げた。
｢とりあえず基礎は全て教えた。後は自分で応用せよ｣
レムは一つ咳払いをして、ザックに語りかけた。
｢わかりました｣
ザックは大きく頷いた。
｢…ま、そんなところじゃな。それじゃあの｣
レムは手を振りながら、家の中に入って行った。
エミルはそれを見て寂しそうな表情で手を振った。
｢ありがとうございました！｣
ザックはもう一度深々と頭を下げた。
｢基礎は全て終えた。後はお前さんが研究するんじゃな｣
グレアムはやれやれといった表情で書類を置いた。
｢感謝する。我が家の再興が成ったなら研究者として厚くもてなそう｣
スレイは嬉しそうな顔で大きく頷くと、手を差し出して握手を求めた。
グレアムはスレイと握手を交わして、
｢もうわしもいい年じゃ。本を読む作業を止める事は無いが、研究はもう止めにするよ｣
と、言ってニヤリと笑った。
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