康則のたわいもない話を聞いている、渓悟の携帯が鳴った。
表示は「桐島龍吾」
康則が他の同僚に話し掛けている隙に、渓悟は携帯を持ち、談話室に向かった。談話室に入る時、歩と入れ替わる状態になり、ドアを持ってくれた渓悟に対して
『ありがと』
と言い、渓悟は何も言わず談話室に入った。
2つ折りの携帯を広げて
『はい。桐島です。』
立ったまま、壁にかけてあるカレンダーをなんとなく身ながら言った。
『渓悟、オレだ』
龍吾は窓の外を身ながら言った。
『なんだよ。親父。』
渓吾は、普段、電話をかけてこない龍吾からの電話で何か、心のざわめきを覚えた