(なっ………)
目線の先にいたのは、男子生徒。
屋上の、この時期寒いため、人が近寄らない北側だ。
それは問題ない。
しかし、男子生徒はフェンスを越え、こちら側に降りている。
絶賛、自殺中。
(いや、誰が絶賛するか…。というか、は?
まさか本当に死ぬ気なんじゃ…)
幸か不幸か、下校中の他の生徒は気づいていない。
(誰か、先生とかに言うか?
…でも騒ぎになったら…)
飛び降りてしまうかもしれない。
「もう…行くしかねぇか」
気づかせないように、後ろから羽交い締めにすれば
何とかなるかと、
靴を履き替えるために下校場へ戻った。